6.
慎之介は思わずその頬にキスをした。
そしてタガが外れてしまったのか、
慎之介は何度もキスを繰り返した。
頬、こめかみ、耳、目蓋……。
「ヒカル、元気になって…?」
ヒカルはどこに触れても熱くて、
慎之介は祈るような気持ちで唇を重ねた。
「ふ……」
唇と唇の隙間から息が漏れ、
ヒカルがゆっくりと目を開けた。
「ん……。
しん、のすけ……さ、ん……?」
ヒカルはぼうっとした視界に慎之介を捉え、
絞り出すように彼を呼んだ。
「あ……ヒカル……!」
とろんとした目でこちらを見るヒカルに、
慎之介は何故か涙を浮かべてしまう。
笑っているような泣いているような、
変な顔になってしまった。
それが恥ずかしくて、
慎之介はヒカルに被さるように思い切り彼女を抱き締めた。
[ 27/38 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]