3.
相変わらず慎之介は絶不調で、
さすがの司ももう出る言葉がない。
魁斗もイライラを隠せない。
「みんな、ごめん……」
「シン、どこか悪いのか?」
ふるふると、
慎之介は首を横に振る。
そのまま俯き、呟く。
「でも今日なんか踊れないし歌えない……。
どうしてかはわからないけど……」
下唇を噛み締める慎之介に、
司は溜息を漏らす。
「わかった。
今日は帰って休め」
思いがけない言葉に思わず息を飲み込む。
見上げた司の顔は怒っているというふうではなかった。
「でも……」
「時間はない。
だが後のことは魁斗と詰めておく。
シンはしっかり休んで明日からしっかりやるんだ」
優しい中にも緊張感が張り詰めた司の表情。
申し訳なくて涙が出そうになる。
「ごめんなさ……」
「気にするなよシンくん。
まぁ、ドーナツに八つ当たりは良くないけどな」
弟分の魁斗に頭を撫でられてしまい、
慎之介は苦笑いした。
[ 24/38 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]