2.
「37.6度か……
だいぶ下がったの」
マスターは体温計の表示を確認する。
ヒカルはその横のソファーで寝込んでいた。
店の2階にある従業員用の休憩スペース。
大きめのソファーとそれに合わせたローテーブルがあるだけだ。
「すみません……
お店休みにしちゃって……」
「なんの気にするな。
たまには休養も必要じゃて」
昨日の営業中も少し熱っぽかったが、
閉店してから熱がぐんと上がってしまった。
寝れば熱も下がるだろうと薬を飲んで早めに就寝したが、
期待したほど熱は下がらなかったらしい。
それでも何とか起きて店を開けようとしたが、
マスターに止められてしまった。
「……ん?
誰じゃこんな時に電話してきおって」
「配達の注文かも……」
「どうせ小僧の誰かじゃろ。
放っておけばいい」
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