5.
剣人が不意にヒカルの手を握った。
「ちょっとこうしてろ。
落ち着くまで……」
その大きな手から鼓動が感じられる。
思いも寄らなかったとはいえ、
剣人もめったに見せない照れた顔をしている。
耳まで真っ赤なのは熱のせいじゃない。
ただ握られただけの手を、
ヒカルは組み直した。
指と指を絡ませ合った。
「……ん?」
「熱上がったら、
剣人さんのせいだからね……?」
剣人を見上げるヒカルのいたずらっぽい顔。
それを見た剣人は大きなため息をついた。
そして、
(チュッ)
ヒカルの額に口付けた。
「かわいいこと言うな。
……バカ」
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