1.
「ね、剣人さん。
あそこのお店……」
ショッピングモールでデート中。
ヒカルは剣人に似合いそうなジャケットを見つけて、
それを指差しながら剣人の袖口を引っ張る。
「…………」
しかし剣人からの返事はない。
こちらに寄る気配すらも。
「ん?
どうかした?」
剣人の方を振り向くと、
何故か心配そうな彼の顔。
戸惑った次の瞬間、
剣人の大きな手がヒカルの頬に触れた。
「熱か?
赤ぇぞ。顔」
「え……」
ヒカル自身にその意識はない。
それでも剣人に心配させてるとわかり、
ヒカルの顔にも不安が広がる。
不意に手の平を当てた首筋。
言われればうっすら汗が滲み、
少し熱いような……。
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