4.
「こっちこそサンキュ、な」
そっと体を離し、優しく髪を撫で頬に触れる。
わたしを愛おしそうに見つめる魁斗さんは、
どこか満足そうでどこか切なげだ。
「なぁ、いい?」
「え?何が?」
きょとんとするわたしの頬を魁斗さんはむにっとつねる。
こいつめ…といたずらっぽく微笑んで、
突然キスをしてきた。
驚いて思わず目を閉じるのを忘れてしまった。
唇を離した魁斗さんと目が合う。
「ちょっ……!
お前、目ぐらい閉じろよな!」
「ご、ごめんなさい!
びっくりしちゃって……」
「……まぁいいや。
やり直しな」
そう言うと魁斗さんは、
またわたしの頬に触れた。
END
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