9.
下唇をついばむようにキスをされた。
そしてギュッと抱きしめられた。
「……やっと触れた」
「……剣人さん?」
「お前が足りなくて来たからな」
腕に更に力がこもる。
「なんか今日調子出なくてよ……」
「何かあったの?」
「いや……」
剣人さんは口ごもると、
わたしの額や目元に唇を落としてきた。
「お前が足りねぇだけだ」
もう1度唇を重ねると、
体を離した。
「これ喰ったら行かねぇとな」
「……うん」
「そんな顔するな、な?」
再びミートパイを口元に運ばれ、
わたしはそれを口に含む。
同じフォークで剣人さんも食べた。
「うめぇな」
「本当?」
「ああ。夜までやれそうだ」
ペロリと平らげ、
ブレンドも飲み干した。
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