8.
「いてぇ……冗談だ」
それに反発するように、
更に強く抱き締められてしまった。
「きゃっ」
「そんな拗ねるな」
そう優しく言うとこめかみに唇を寄せてきた。
その唇がこめかみから耳をくすぐり、
耳たぶをちゅっと吸われた。
背筋にゾクッと快感に似た感覚が走り、
思わず息が漏れてしまう。
それに気付いたのか、
剣人さんは私を抱き寄せる腕に力を込める。
「ん……」
「痛いか?」
「苦しいよ」
「……わりぃ」
そう言うと剣人さんは優しく愛おしそうに頭を撫でてくれた。
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