青春×××群雄劇(仮)(bsr×RE!) | ナノ
「…ドッジボール」
先ほどの殴り合いを目にしていたのもあって綱吉は、あまり乗り気にはなれない。
それに、綱吉は球技が得意ではない。
「(…始めから外野にさせてもらおう)」
「大丈夫ですよ十代目!」
綱吉の浮かない顔を見た獄寺は何を勘違いしたのか、十代目は、右腕の俺が必ずお守りしますから!そう言ってドンと自分の胸を誇らしげに叩いた。
「獄寺くん!?…いや、あの」
"右腕"を強調され、ハッキリと否定出来なかった綱吉の耳に恐ろしい言葉がサラリと入ってきた。
「狙い目は膝か顔ってところかなあ、」
いや、それとも…ぶつぶつと呟く優の目は愉しげだ。
「優!?
顔は反則だよ!」
「大丈夫だよ」
何が大丈夫なのか、ニッコリと笑う優に綱吉は何も言うことが出来なかった。
それよりもだんだん自分への雲行きが怪しくなってきているように綱吉は感じていた。
「「もちろん、ツナ(十代目)に勝利を!」」
「(そこで団結しちゃったー!?)」
「さ、ツナ頑張ろう!」
「頑張りましょう!」
二人は綱吉の手をとりコートにいざ行かん、と向かおうとする。
その表情は生き生きとしていた。
綱吉はこのままではいけないと、足を踏ん張った。
「待って!俺、外野に…」
「外野?京子ちゃんとハルが行ったよ!」
あそこ、と優が指指す先には、京子たちが綱吉(たち)に向かって手を振っていた。
よくよく見ると外野には女子しかいない。
綱吉は己にもう逃げ道がないことを悟った。
「はは!楽しもうぜツナ!
獄寺も優もやる気満々だしな」
山本がぽん、と綱吉の肩を叩いた。
「…山本。」
二人がやる気なのが、一番怖いんだよ、と続く言葉を綱吉は飲み込んだ。
―そしてゲームが始まる。
← →
25
しおりを挟む