青春×××群雄劇(仮)(bsr×RE!) | ナノ
放課後、人通りの少ない体育館裏という場所で、―綱吉は、困惑していた。
「あの、」
「綱吉くんもう少しだけ待って!」
ごめんね、と人懐っこい笑みを浮かべる佐助に綱吉は「あ、いえ大丈夫です。」とぎこちなく笑った。
「ほら綱吉くん待っててくれるって、頑張って旦那!」
綱吉の肩に幸村の手が置かれた状態が、かれこれもう十分は経とうとしていた。
…どうしてこうなったんだっけ?綱吉は遠く空を眺めてああそうだ、と一人納得した。
幸村から話がある、と呼び出された綱吉は自分が呼ばれた理由がさっぱり検討もつかないままに、ここにいた。
そもそも、綱吉が幸村とまともに会話をしたのも先日の購買の一件の時だけである。
「さ、沢田殿は…」
「は、はい…。」
「その…」
「(…気まずい。)」
幸村は、そう言っては言い淀む。
ちらちらと視線は動いてばかりで、はっきりしない。
いつまで続くかわからぬやり取りに、いい加減痺れを切らしたのは佐助だった。
「旦那!」
「っ伊藤殿と!」
叱咤された幸村が口にだした名前は、綱吉もよく知る人物である。
「(優?)」
「こ、ここ恋人同士なのでござるか!?」
「よし!頑張った旦那!」
やっとのことで告げられた言葉に、綱吉はかあっと赤面した。
こ、恋人ー!?
「ち、違います!
俺と優はそんなんじゃないです!」
「ほ、本当でござるか!」
ずずいっと詰め寄られ、綱吉はブンブンと首を縦に振った。
―それより、距離が近すぎる!
メキメキと嫌な音をたてる肩はこの際気にするのは止めようと、綱吉は諦めた。
「はい、あの、さ、真田くん近―」
あ、っという間もなく綱吉は足を滑らせすてんと、後ろに転けた。
そして幸村も綱吉に被さるように、倒れこんでしまった。
「い゛っ!」
「ぬお!」
「綱吉くん!?旦那!?大丈夫!?」
綱吉は倒れた拍子に後頭部を強打し、痛みによる生理的涙を流す。
そして何ともタイミングが悪いとしか言い様がなかった。
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