青春×××群雄劇(仮)(bsr×RE!) | ナノ






「そろそろ帰らなきゃ、」

優は壁に掛かった時計を見る、と名残惜しげにそう言って立ち上がった。
楽しい時間はいつの間にか過ぎてしまうものだ。
幸村は寂しそうにしゅんと俯く、―その姿はまるで子犬のよう。
佐助はそんなあからさまな幸村に苦笑を溢して立ち上がる。

「あー、もうこんな時間だもんね。」

「流石に長居し過ぎた、迷惑かけたね」

「全然!俺様も楽しかったし、またおいでね!」

優は嬉しそうに笑うとうん、と頷いた。
そして、あっと自分の格好を思い出した。

「猿飛くん、あの、この服。」

「ん、ああそれ!どうせ旦那の着れなくなったやつだからいいよ。優ちゃんのまだ乾きそうにないから学校に持ってくね?」

「ありがとう、」

佐助は優に優しく笑うと幸村を振り返った。

「旦那何してんの
早く準備しなよ」

しゅんとしていた幸村が何がだ、と言う前に、例によって信玄に殴り飛ばされていた。

「幸村ぁぁぁ!男なら!己が自ら進み出て送り届けずどうする!」

ズシャと壁に崩れた幸村はその言葉に目を大きく見開いた。

「そうだよ、旦那。
優ちゃんはか弱い女の子だよ。一人帰るなんて危ないよ」

そんな言葉を優は少し居心地悪げに聞いていた。(…か弱くはないんだなあ。)
幸村はばっと立ち上がると信玄に向かう。

「おやかたさばぁぁぁぁ!某!命を持って伊藤殿を送り届ける次第でございまするううう!」

「うむ、幸村よく言った。」

「おやかたさばぁぁぁぁ!」

「幸村ぁぁぁぁ!」












隣を歩く幸村はすでにボロボロで、優は先ほどの騒動を思い出して笑った。
くつくつと笑う優を幸村は不思議そうに眺めていて、その頬は軽く色づいていた。

「如何されたので、ござるか?」

「ん、賑やかで楽しかったなあと思って。」

「―っ、某も!今日は楽しかったでござる!」

拳を握り語る幸村に優は更に笑みを深めた。



「っと、真田くん。
ありがとう。駅ついたからここでいいよ」

「しかし、」

「大丈夫、家は駅に近いし。」

渋々頷いた幸村に優は本当にありがとう、と言った。

「じゃあ、また学校で」

ばいばい、と手を振って行ってしまった優の背を見送って幸村は、ほうと息をついた。









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