青春×××群雄劇(仮)(bsr×RE!) | ナノ
「鶏肉、っと。」
迷彩柄のエプロンを身に付けた佐助は冷蔵庫から鶏肉を取り出すとチラリ、優を一瞥した。
台所の横にあるごみ箱の前で、優は呻き声をあげていた。
「うーあーっともう!」
なんでもいいから手伝う!と意気込んだ優が玉ねぎの皮と格闘しだして、すでに五分になる。
思うように剥けない皮に、優は眉間に皺を寄せていた。
その姿が、なんだかとても愛らしくて佐助はクスクスと笑うと優の手から玉ねぎを取り上げた。
「優ちゃんって、料理とか苦手?」
ツルリと佐助が玉ねぎの皮を剥くと、優はおお!と目を煌めかせた。
そして佐助の質問にうっ、と声を詰まらせた。
「……………………得意では、ないかもしれないかもしれない。」
反らされた視線と、長い間が全てを語っていた。
佐助はどっち、と苦笑を溢すと玉ねぎのみじん切りを始めた。
手慣れたそれを、優は食い入るように見つめる。
「猿飛くんって凄いね」
「慣れてるからね」
佐助はふっ、と微笑んだ。
その笑みはとても嬉しそうだ、と優は思った。
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