青春×××群雄劇(仮)(bsr×RE!) | ナノ
ズキズキと痛む額を押さえ伊藤優はその場にうずくまった。
優にとって、今日は厄日としか言い様のない日であった。
優の目の前では、見知らぬ男の子が尻餅をついたまま、顔を真っ赤にして、パクパクとまるで金魚のように口を開閉させている。
「(なんだよこの状況)」
優が雲雀に呼び出されたのが、昨夜の十時頃の事だった。
突然鳴り出した並中校歌はある意味で恐怖体験だったと優は思い返す。
それから今まで、眠ることも許されず、優はただただデスクワークをこなし朝を迎えた。
役目が終わるともう用はないとばかりに、優は雲雀に追い出される形で、応接室から“ぶん投げられた”
そうして、運悪く見知らぬ男の子とぶつかってしまったのが先刻の事だった。
優ははあ、とため息をついた。
「(ホント、このままじゃ入学早々遅刻…。)」
優は制服の埃を払い立ち上がると、不本意ながら(悪いのは私ではなく雲雀さんだ!)尻餅をついたままの男の子に手を差し出した。
「―大丈夫ですか?」
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