青春×××群雄劇(仮)(bsr×RE!) | ナノ






この春、晴れて中学生になった私。
最愛の幼馴染みとはクラスが離れ、最悪の春がスタートした。
のらりくらりと毎日を過ごしていた私は、どうやらクラスではかなり浮いた存在になっていたらしい。
―ああ、さっさと帰りたい。
京子ちゃんが、私の帰りを待ってるのに!

「アンタ、さっきから聞いてんの!?」

「澄ました顔してんじゃねえよ!」

体育館裏、なんとまあベタな!場所にお呼び出し、とくれば何があるのかなんてよくよく考えればわかるじゃないか!話があるのって、そういう事だよね?
数分前の自分に嫌悪。
数人のクラスメイト(なんだっけ、名前…。あやふや)に囲まれて、その口からは下らない言葉の羅列が吐き出される。
よくまあ、そんなキタナイ言葉が吐けるね、ある意味尊敬。
ぼうっと右から左に聞き流していたら、どうやら怒らせてしまったらしい。

「…顔は一応やめてあげる」

一応ってなんだ一応って。
クスクス、あはは。
耳に残る笑い声に気分は急降下…さいあく。
十対一に勝ち目はあるだろうか。
あるわけないなあ、どこか他人事に考えて完結。
痛いのは、嫌だな。
両手を掴まれても、どこか冷静に考えている辺り…自分は残念な人間だと思った。
嘘でもいいから、泣いてすがれは許してくれるかも。―いや、嘘泣きも面倒。
ほーら、やっぱり残念なワタシ。

「っちょっ、うわあ!」

パチクリと驚きで瞬く。
突然現れた男の子。
聞こえはまるでヒーローのようだけど。
あの、その…。
オドオドとした物言いに、「あ、駄目だこの人」と瞬時に悟った。

「なに、コイツ。」

「あーあれだよ、みっちゃん!隣のクラスのダメツナくん!」

「なあに?王子さまの登場?うけるんですけど!」

彼が一体誰だかなんて、全然知らなかったけれど。
一応私を助けに来てくれた(のかもしれない)人に、なんという言い種だ、と沸き上がる怒り。
ギロリ、とみっちゃんと呼ばれた女を睨めばその顔に少し怯えが走った。ざまあ!

「―っチクんなよ、ダメツナ!」

「うぐっ!」

変わりに彼に蹴りを入れる女に、ああチクショウと歯がゆくて。
もういいよ!逃げて!逃げるくらいできるでしょ!と今度は彼を睨み付ける。
彼は何故か視線を反らさなかった。
真っ直ぐに向けられた瞳が、とても印象に残った。





バン!と大きな音が聞こえて、彼の額から流れる鮮血。フラりと崩れる体。
突然の出来事。
私らしくもなく、叫ぶ。

「ひ、酷い!撃つなんて!」

「違っ!あたしじゃ!」

「リボーン!!」

「キャア!」

ムクリ、起き上がった(い、生き返った!?)彼は何故か下着姿でその額からは淡い炎。

「死ぬ気で彼女を助ける!」

うおおおお、と雄叫びをあげて彼がこちらに向かってくるものだから、怖くなって目を閉じた。


「え、え、ええええ!」

ふわり、とした浮遊間を感じて目を開けてみれば、一面の青が視界にはいった。

「と、飛んだの!?」

屋上に下ろされた私はフェンスの下を覗きこんで、絶句。
何メートルあると思ってんだ!あり得ない!
女たちの悲鳴染みた声が聞こえた。

「え、っと大丈夫?」

額の炎は消えていて。
困惑気味に下がった眉に、私はどうしたらいいの?
取り合えず、助けてもらったから…お礼?

「うん。あの、ありがとう。」

「いや、あの、俺何もしてないから。」

彼はコクン、と頷いてそして自分の格好を見てうわあ!と叫び声をあげた。
なんかさっきと大分印象が、―変わった?










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