青春×××群雄劇(仮)(bsr×RE!) | ナノ
真田幸村はただひたすらに走っていた。
己の力全てを使って。
彼にはもう時間が残されていなかった。
「うおおおおおお遅れるぅぅぅぅぅぅぅ」
彼の幼馴染みがこの場にいたら、「だから程ほどにしなって言ったでしょうが、」と呆れて言うだろう。
鍛練が大好きな幸村にとって入学式だろうが、なんだろうが関係なかった。
それに内部で進学した幸村にはただ教室の場所が変わっただけのようにしか思えず、入学式と言われても、そんな改まった気分にはなれなかったのだ。
だから、幸村は今日も変わらず鍛練に打ち込んでいた。
ただ一つの問題を言えば、気合を入れすぎて、すっかり時間を忘れてしまった事だろう。
「(燃えろ我が魂ぃぃぃ!)」
幸村は道場から高等部の新しい教室までの道のりを全力疾走で駆け抜ける。
「(応接室の角を曲がれば、階段でござる!)」
見えてきた応接室のプレートに幸村は自分の勝利(見事間に合ってみせますぞお館さばぁぁぁ)を確信した。
その時――応接室の扉が勢いよく開き、“何か”が飛び出した。
「な!」
「ぐえ!」
幸村は急な出来事に止まる事もできず、応接室から出てきた物体とそのままぶつかったのだった。
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