青春×××群雄劇(仮)(bsr×RE!) | ナノ
朝練を終え教室に向かう剣道部の面々の中で慶次と元親は頭を擦り、未だぶつぶつ文句を垂れていた。
「疲れたぜ。」
「全く浅井さんは厳しすぎるよ」
「…慶次殿たちは一体如何したのでござるか?」
事情を知らない幸村は竹刀が入った袋を肩に背負い、そんな事を元就に訊ねていた。
元就はふっ、と冷笑を溢すと真田が気にする事ではない、と言った。
「慶次も親ちゃんもドジだからねー。」
「ぷ」
「あ、笑いやがった政宗!」
「酷い!政宗!」
そんなやり取りをキョトンとしながら見ていた幸村はふと、目を細めると遥か前方を指差した。
その顔いっぱいを綻ばせて、
「伊藤殿でござる!」
「へ?」
「は?」
「AH?」
「あ、本当だ。」
佐助が同じく目を細めその先を見つめると、…確かにあの後ろ姿は…。
「優ちゃんだね」
「知らない男といるな…」
ぽつり。
政宗が呟くが、幸村はすでに走っていた。
どこか爛々と、
「っ伊藤殿ー!」
「ちょっ!旦那!」
「あー、行っちまったな」
「…元気過ぎんだろ」
まるで犬のように駆けて行った幸村を遠い目で見送る四人に慶次はふと思い付いた言葉を口にした。
「ユッキー、恋してるみたいだなあ…。」
「「「は、」」」
ヒュウ、と木枯らしが吹いたかのように。
その場の空気が止まった。
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