青春×××群雄劇(仮)(bsr×RE!) | ナノ
「市先輩、涙…拭いてくださいね。真田くんも、頼むから泣き止んで」
優は市にハンカチを手渡しその背中を優しくトントン、と叩いた。
ハンカチで目元を拭って控えめに笑った市を見て優はうわあ、と目を丸くした。
「(か、可愛い。)」
ぽわん、と市の笑顔に癒された優は保健室に備え付けられていたボックスティッシュをとると今度は幸村にはい、と差し出した。
「うう、…伊藤殿…。
も、申し訳ありませぬ…。某…」
ティッシュを受け取りつつ、ゴシゴシと目を擦る幸村の手を優はふいに掴むとその目を覗き込んだ。
幸村はぴしっと背筋を伸ばし、固まった。
「あ、ほら!赤くなってる」
そんな強く擦っちゃだめだ、と注意をうけて幸村はその手を下げた。
そのしゅんと項垂れた様子がいやに幼く見えて、優は牛柄タイツの男の子を思い出した。
「…かたじけないでござる。」
幸村は情けない、恥ずかしいと、思いながらもどこか心配された事実が嬉しいと思ってしまっていた。
そして瞬時にそんな考えを持った自分を叱咤する。
「(はっ!なんと言うことだ!お館さまに叱って頂かねば…!)」
「これからよろしくお願いしますね」
そしてこれまた突如、そんな空気を破った声に、優はヒクリと顔をひきつらせた。
どこか、つい先程、聞いた覚えがある声。
「この人が顧問の明智先生だよ」
半兵衛が紹介する先には白衣を纏った真っ白な男、基明智光秀教員がニタリ。
「ふふふ、楽しくなりそうですね。」
楽しそうに笑う半兵衛と明智を見て、うわー退部したいなあ、と優が思ってしまったのはここだけの話。
その日、優と幸村は無事に(?)科学研究部の一員となった。
「でも、真田くんって剣道部ですよ?」
「大丈夫。活動は基本的に自由だから掛け持ちもありだよ。それに…」
「それに?」
「彼にはモルモッ…力仕事とかの雑用係になってもらうからね!」
「おお!それならば、某にもできまする!」
「え、いや今モルモットって…」
「これからよろしく頼むよ!」
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