青春×××群雄劇(仮)(bsr×RE!) | ナノ






「さな―」

幸村に声をかけようとした優は、誰かの気配を感じてさっと部屋の中を見回した。
少し薄暗い部屋の奥から顔を覗かせた女の子に優は少しだけほっとした。
艶やかな黒髪を揺らした彼女の名前は織田市。
この学園の全権を握る織田信長理事長の実妹だと言うことは学園周知の事実であった、がまだ入学して日の浅い優は知らなかった。

「…誰なの?」

「(白い人かと、思った。)…こ、んにちは」

突然の訪問者に、市は綺麗に整った眉を困ったように下げた。
そんな市を見て優はしまったと思った。
―どう考えても、怪しいのは私たちだ!
優の脳内で不法侵入という言葉が点滅する。

「勝手に入ってごめんなさい!すぐ出ます!」

優が出ようとドアに手をかける、前にガラガラとドアが開いた。
その音で幸村もはっと我に返った。

「おや?」

「…あの」

ドアの前に立っていた男は優と幸村を見比べ、ふっと口許を緩めた。

「ようこそ、科学研究部へ!」

男は電灯のスイッチを押すと、大袈裟に腕を広げ満面の笑みを浮かべた。
明るくなった部屋を見て、優は自分でも間抜けな声を出したと思った。

「へ、」

そこは保健室であった。










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