青春×××群雄劇(仮)(bsr×RE!) | ナノ
「いやあああああ!」
「ぬおおおおおお!」
「ふふふ、逃がしませんよ」
全速疾走で廊下を走り抜ける優と幸村の後ろを微妙な間隔で追いかける男はニタリ、その唇で弧を描いた。
まさに奇妙なダービーレースである。
「ふふふ…。」
そんな中、幸村は伊藤殿は足がお早いのだな、とどこかズレた事を考えながら走っていた。
優はというと、キョロキョロと辺りに気を配っていた。
―こんなところ、雲雀さんに見られたら…絶対噛み殺される!と心中は南極よりも北極よりも、ヒヤヒヤとしていた。
そして何故だか、二人の行く先は人気もなく薄暗い。
「堪りませんねえ、まるで猫がネズミを追い詰めるような…。ぞくぞくしますねえ」
恍惚と呟く男を見て優は捕まったら、何をされるのだと顔を強張らせた。
「っ真田くん!」
こっち!と優は幸村の手をむんずと掴むと、空き教室に逃げ込んだ。
「これでひと安心」
ガチャリ、と鍵を閉めた優はふうと息をついた。
幸村は蒸発してしまうのではないかと思うほど顔を真っ赤にして繋がった手を見つめていた。
「(は、ははは、はれ、んち)」
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