「成さんて俺のことキライでしょ」
それを何故今聞くのだろうか。成田はぴたりと動きを止めた。同時にベッドが軋む音も止み、部屋に荒い息だけが響く。整えるために大きく深呼吸をすると、汗が一滴シーツに沈んだ。
「…なんだ突然」
「いや、そうだろうなって思っただけ」
「今この状態で聞くことかそれは」
成田の自身は達海の中に挿入ったままだ。中途半端に煽られたそれはまだ固さを保っていて正直よく止まれたものだと感心してしまう。多少の苛立ちを隠さず、成田は達海を睨み付けた。その視線に怯むことなく飄々とした態度は変わらない。
「だって愛が感じられないもん」
「…は、」
言うに事欠いて愛とは。こいつからそんな言葉が出るとは思わなかった。言った本人は本気なのかどうなのか。口を尖らせて成田を見返す。その視線が、恐かった。
「愛なんてあるわけないだろ」
「あ、やっぱり。ひどいよねー」
「お前こそ、」
「愛なんて信じてないくせに」
そう呟くと、達海はにやと不敵に笑った。
それはとても艶やかで、心臓がどくんと音を鳴らす。それが合図かのように成田は再び腰を動かした。
「俺、はっ、成さ、のことっ好きだ、よ!」
「…うるさいっ」
「セック、ス…うまいっ、し?」
「黙れよ」
「ぁっ、ふ、なんだかんだっいって!優しいし、」
「黙れって!」
「何も聞かないで抱いてくれるから」
思いきり喉元に噛み付いた。
達海は小さく悲鳴をあげて、果てた。
本当は知っている。
俺は誰かの代わりだってことを。
(愛してないよお前なんて)
(俺を愛してくれないお前なんて)
(虚しいだけじゃないか)
20101217