FF零式、エイト?
  


※死ネタ表現あり



何度か血を吐き出したせいで、地面は赤黒く変色してしまったし、口内はすっかり鉄のにおいで溢れてしまった。

地面に関しては、この血が肥料になれば万事解決なのに、と何とも場違いな空想に浸る。


腹部に視線をやれば黒い制服さえもこの地面のように変色し、土埃で所々汚れているのを理解し、眉を潜めた。

ああ、ついこの間、新調したばかりなのに。

顔を歪めたのは、制服を汚してしまった事に対してか、それとも腹部の痛みのせいか、はたまた死に対する恐怖か。


そこまで思案して、私は首を横に降った、その行為でさえも今は気だるく感じる。

私は“忘却”を恐れているのだ。

自分でその答えに行きついたくせに自分でその考えに身震いし、その恐怖から逃れようと肩を強く抱く。


これでは0組として失格ではないか、と弱い自分自身に憤りを感じる、私だって数多くの仲間だったであろう人々を忘れているというのに。


大丈夫だ、恐らく連絡のつかない私を仲間達が捜してくれている筈だ、そしてマザーの所に連れていってくれるだろう。

そしたら一時期は皆に忘れられるだろうが直ぐに元に戻る、私が死んだ事なんて初めからなかったかのように、だから何も恐れる事はないのだ。


ふと、そこで茶色の短髪を思い出す。

彼も私を忘れるのだろうか、そう考えた途端に背中にブリザドをかけられたみたく言葉の通り背筋が凍った。

意味もなく視界が滲む、怖い、恐ろしい、死にたくない、生きたい、皆の元に帰りたい。


もがけども現状は変わりなく、ただ体温が奪われていくだけで。

嗚呼、そうか、彼らもこのように恐怖しながらも命を落としていたのか、死ぬ事よりも人の記憶に残れない事に深く恐れて。


無知は罪、その言葉の意味を知るのには遅すぎたようで、愛しき人の名を言葉にも出来ずに、この恐怖さえも呑み込む眠りに私は包まれたのであった。




最近始めたFF零式に見事にハマりました。

人は二回死を迎えるらしく、一度目は肉体が滅んで、二度目は人の記憶から消える。
その二回を迎えて、人は死んだことになるらしいです(うろ覚え知識)
そう考えると零式の設定は悲しいものだな、と感じます。



2012/06/28 14:23

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