※学パロ 『女子高生の憧れって本当一瞬のモンなんですよ』 「はあ?」 如何にも不可解丸出しの柄の悪い返答をするのは、元ヤンとの噂が蔓延(はびこ)るカークランド先生。 五月の誕生石の如し綺麗な瞳は瞼によって半分隠れ、特徴的な(最早アイデンティティーであろう)眉毛の間には皺が出来ている。 そんな顔をしても女子高生どもが彼をカッコいいと騒ぐのは、その顔の端整さ故だろう。 神様ってば何て不公平。 『私の友達に大人気な先生なら、何となくその意味が分かるんじゃないですか?』 「あー? 特にこれ以上用事がないなら、さっさと帰って勉強しろ」 『ははっ、これは学生の放課後の戯れですよ』 肩を竦めてくすくすと葉っぱ同士が擦れる音の様に笑う私は、先生から見てどのような生徒に映っているのだろうか。 願わくは、変人ではない事を祈りたい。 『先生みたいな格好いいと言われる部類が教師やってんですから、当然生徒にモテモテでしょう? 当の彼女からしてみれば“禁断の恋愛”何かに部類されるのかも知れませんが、そんなの結局は錯覚にすぎないんですよ 恋に恋してるっていうか、大人の男性に恋してる自分大好きというか…まぁ若気の至りですよ 結局彼女らは卒業してそれぞれの進路に進んでけば、掌を返す様に勝手に離れていって先生への片思い(仮)を思い出として完結するだけですよ』 ね、呆気ないでしょう?と言って明らか困ったように微笑みを浮かべる。 その私の視線の先には単調なモノトーンに染まる先生の卓上で、鮮やかな己の色をこれでもかと主張する可愛らしいピンクのラッピング。 先生によって綺麗に整えられるプリントの束達が美しく西日により鮮やかな橙色に染まる。 少しだけ開いている窓から侵入してくる冷たさを含んだ秋の風の匂いと、先生が淹れたのであろう、アールグレイの優しい香りが混ざり、私の鼻腔を優しく刺激する。 「まあ、女子高生何てそんなモノだろ、そんな事出来るのは今だけだしな」 『先生、それ年寄りの言葉です』 「俺はまだ若いわっ!」 『でしょうね』 嗚呼、甘ったるい如何にも造った声で男と接する同級生も、何も解らない振りをして同級生と接するカークランド先生も、みんなみんな馬鹿だ。 馬鹿馬鹿し過ぎる、何もかも。 本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に 本当、 私ってば大馬鹿者だね。 2011/10/27 18:44 |