それを語るには、心が足りない
2011/10/24


彼女が世界を語る上で欠かせない要素の一つが欺瞞だ。

欺くということは自己を確立出来ていない者には麻薬であり、その快感に浸れば最後。そいつは進化を止めて世界から目を背けてしまう。

だから、彼女は欺瞞を嫌悪する。

だから、彼女も欺瞞的なんだ。

彼女は既に停滞している。それは、人間である僕の目にだって釈然としている。だが、彼女は自分に起きているのは停滞ではなく到達だと嘯く。悲しそうな目で。
停滞も到達も、過程は違えど結果は同じ。それならどちらもしないほうがましであるという事実すらも彼女は持ち前のよく動く舌で歪曲させる。
僕は彼女が嫌いだ。
違う、弱虫が嫌いだ。
泣くことすら我慢する奴が神様なものか。
神は泣かない。心がないから。
なら、喜び、怒り、哀しみ、楽しむ彼女は人間以外のなんだという。
欺瞞は散々だ。
もうじきに世界には光が落ちてすべての虚実は焼け落ちる。
君が十字架から解き放たれるのもその時だ。

もうすぐ、もうすぐだ。
満願成就の祝杯を掲げて座して待とう。
世界は希望に満ち満ちているよ、パンドラ。




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