脱ぎ捨ててある腹巻は触りごこちの良い毛糸だった。
ファンシーなブタのイラストに水玉模様がてんてんとしていて、それはあまりにも身につけている本人とはイメージがかけ離れているかもしれないな、と浜野は笑った。

ふとドアの開く音がして、肌着のみを着けた速水が現れた。
いつもの元気なピッグテールからは一転、直毛の艶やかな髪は下ろされ滴が滴っていた。

「あっ、ありましたあ〜投げてください、それ」

目線は一直線に、浜野の手にしていた腹巻に伸びていた。

「ほーい、やっぱ暖かいの?」

この腹巻は速水が常に身につけているもので、いつでも速水を守ってきたらしい。

「はい。俺本当にお腹弱いんですよね〜特に事後なんかじゃ」

細い腰にふわふわの腹巻が装着された。
なんとも可愛らしいその光景に、思わず浜野は速水をベッドに引きずり込む。

「おわわっ……浜野くん?」
「ごめんね、いつもお腹に負担かけて」

浜野は大きな手のひらで優しく速水のお腹をさすった。
速水はそれが、くすぐったくて気持ち良かった。

「いーんですよ」

別に苦しくないです。と笑って言った。
速水はきゅうっと抱きしめられたお腹が暖かくてうとうとと眠気の中でたわいもない会話をし続けた。

「ふあ……」
「あ、限界?」
「も……眠……」
「……ふふ、おやすみなさい」

くちびるを落として眠りにつく。速水のお腹を触っては柔らかい繊維を感じて浜野も瞼を閉じたのだった。