ねがぽじかっぷる8
「母さん、友達来ました」
「おじゃましまーす」
とだけ言い俺たちは階段を上がる、浜野を家に上げたのはなにげに初めてだった。
玄関先でのキス、その熱がまだ冷めていない。
初めてだったのだ。こんなにどきどきして苦しいのなんて。
人を好きになるというのはこういうことだ。
これが、恋だ。
その想いはおそらく浜野も同じだと思った。
「……ほんとうに、ごめんなさい」
「もう、謝るなっちゅーこと。速水が一概に悪いなんてことないし」
「彼女には本当のことを言います」
彼女にも申し訳なかった。ただ期待だけさせるだけ期待させてこちらからきっぱり振ってしまうなんて。
しかしもう俺は自分の気持ちに素直になりたいんだ。
部屋に入った俺たちはベットに座り互いに向かい合った。
浜野は俺の目の中をまっすぐ見つめてくる。
「あらためて言う。速水、よーく聞いてて」
「はい」
気持ちが一緒になるのを感じて息をひそめる。
こんなに、心地よい沈黙があっただろうか。
「好きです、速水。俺と付き合ってくれませんか?」
熱に浮かされるように体がポーッとのぼせた。
「俺も、好きです」
そういうと浜野は崩れるように笑顔になる。
心の中が温かいもので溢れて俺は浜野に抱き着いた。
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