ねがぽじかっぷる5

いきなりすぎた。俺は彼女のことなんて今日まで知らなかったわけだし、まず何で俺なのかが分からない。それを訪ねるとどうやら彼女は俺のあのサッカーの入部テストを見ていたそうだ。

『真剣にボールに向かう姿がとてもカッコよかったの。一目ぼれってやつだと思う』

告白されるなんて今まで経験したことなかった俺は自分が誰かに好かれている、それだけでもとても嬉しかった。
そして中学校に入ってすぐにこれだ。このチャンスを逃したら……
俺は、決断した。

『とりあえず、付き合ってみましょうか』

と、送りケータイを閉じたのだった。

次の日の朝

「速水君!」

朝、登校をしていると後方から声がした。
彼女だ。桜の舞う中で制服のスカートと長い髪が風に揺られている。

「おはよう」
「おはようございます。家、こちらのほうなんですね」

彼女は顔を赤らめながら言った。

「そうみたい……どうしよう凄い嬉しい」

顔を両手で覆い恥ずかしがる姿を見て、ああ、女子だなと思った。
そして少しの沈黙のあとに口を開いたのは彼女だった。

「ねえ、もしよかったらなんだけど、」
「ん、なんでしょうか」
「朝、一緒に登校し」

彼女がそう言いかけた時、ちょうど前方からこちらにバタバタ走ってくる男の姿が見えた。

「あ、浜野」
「あっ……、やっぱなんでもない。速水君ごめんなさい、私先行くね」

と彼女は言い足早に前へと行ってしまった。

「おっはよー!!はーやみー!ん?今の子って……」
「……おはようございます。浜野」

俺は何とも言えない気分になり浜野を見つめた。

「え、速水あの子とやっぱなんかあった系〜?ひゅーひゅー」

そうあっけらかんと会った早々冷かしてくる浜野に少しイラッとした。

「そうですよ」
「え?なになにコクられちったとか?」

「付き合っているんです」

それを聞いた瞬間浜野は叫んだ。
登校途中の生徒たちが不審な目でこちらを見る。

「ええええええっ!?うっそ!」
「静かにしてください。嘘じゃないです」

「……ウソだろ」

悲しむような戸惑うような浜野の顔、俺はそんな浜野を横目に歩くことに集中した。