ねがぽじかっぷる4

入部の一件で俺たちの距離はずいぶん縮まった。

「速水ー!宿題うつさせてー!」
「……嫌です」

毎日がこんな様子だ。
クラスにもだんだん慣れていき、俺もいろんな人と話すようになった。
浜野がいなければおそらく一人ぼっちのままだったと思う。
それでも俺たちはずっと二人でいた。同じクラスでサッカー部の倉間には「お前ら、陰でホモ疑惑出てんぞ。」とも言われた。

(ホモ疑惑……か)

不思議と嫌な気はしなかったけれど、このような日常なんてどちらかに彼女なんかができてしまえば壊れてしまうだろうし。
あーあ、いやな方向に考えてしまう。
浜野はモテるだろうしなあ……。

「速水君、ちょっといい?」
「ん。」

思いにふけっていたのもつかの間、隣にクラスの女子が立っていたのにも気づかなかった。

「メアド、教えてくれないかしら?」

彼女は、唐突にそう言った。
女子からメアドを聞かれることなんてそうないので俺は少しびっくりした。

「え、別に、いいですよ……」
「ほ、ほんと?ありがとう!赤外線……送ってもらっていい?」

そんな感じで俺はメアド交換をした。

「あれ、今の……速水やるじゃん」
「は?」

丁度呼び出しから帰ってきた浜野が言った。

「あの子、速水に気があるんじゃない?」

な、
ただメアドを聞いてきただけでなぜそうなる。

「そんなことないですよ。さあ、部活に行きましょう」
「そうかなあ。うん、いこっか」

そんな感じで今日も部活を終えたのである。

その日の夜、メアドを交換した子からメールが届いた。
何通かレスをしているうちにこんな話題になった。

『浜野君と速水君て仲いいよね。二人とも彼女はいないの??』

そんなことを聞かれたので適当に返しておいた。

『少なくとも僕はいませんよ。浜野も居ないと思います』

とだけ書き、浜野の好きな人か……と思った。
そういえばそんな話したことなかったな。あきらか浜野は恋愛には興味なさそうだ。
でも浜野にもし好きな人がいたら?
……な、なに考えているんだ俺は少しでも嫌な気持ちになってしまった自分を忘れたい。
そんなことをベットの上で考えてもやもやしていると、早くも受信ランプが光った。
ケータイを開いて確認してみると、そこには信じがたい言葉が写っていた。

『速水君、付き合ってください』