お風呂上がりは可愛いタオルに可愛い下着。そして可愛いキャミ。一日中上げていた髪を下ろしていると、なんだか楽でステキ。


「お風呂上がったよ〜」
「服着ろっつってんだろ豚」
「はぁ? うっざ。キャミと短パン着てんじゃん。……はっはぁん、お姉さまのお風呂上がりに興奮しちゃったかぁ?」
「黙ってろ肉便器」


秋の空気は、お風呂上がりにはちょっと涼しすぎる。道場から帰ってきた時はあんなに暑かったのに、夜はすぐに寒くなってしまう。寒いよりも暑い方がいい。
自分の部屋でパソコンに向かっている有を呼びに行く頃には、身体はすっかり冷めて汗も引いている。

有はパソコンを閉じて部屋から出て行った。お風呂に入らないとママに叱られちゃうからね。


「あ、これ」


部屋の本棚の中に、瑠奈が前に貸した漫画が入っていた。貸したこともすっかり忘れていたけど、たぶん有も借りたことを忘れている。
どうせなら持って行こうと、一冊ずつ取り出した。

ぱらり、と何かの紙きれが落ちた。中身は、何かよくわからない数式が書いてある。馬鹿な瑠奈にも、これが授業やお勉強のためのものじゃ無いってことはわかる。
ユゥちゃんや、アゲハちゃんや、楓ちゃんならわかるかもしれないけど。魔法がわからない瑠奈には、公式の一つもわからなかった。


様々な本が並ぶ部屋の中で、有は毎日何を考えて生きているんだろう。昔は毎日一緒に遊んでいた。瑠奈と、有と、それからあの子。
あの子と『さよなら』してから、有は変わった。瑠奈も変わったかもしれないけど、有はあの日から急激に大人になってしまった。昔はもっと素直だったのに。

漫画を出し終わると、本棚の奥に何かが見えた。肌色の表紙にピンク色の文字。これはもしや……



「おい、お前また俺の飲み物勝手に飲んだだろ」
「えー? 知らないよ。おじいちゃんじゃない?」
「またじいさんか、たっく……」


居間には瑠奈とお風呂上がりの有だけ。ママは明日のプリント作り、おじいちゃんは近所のお家にお酒を飲みに行っている。最近は誰も家を駆け込み寺にしないから、ちょっと寂しい。みんな元気かな。


「……何読んでんの」
「有はこーゆーのが好きなんだねぇ。でも小学生の女の子っていうのはちょっとキモいなぁ」
「てめぇその本どっから持ってきた!!」
「いった!? なにすんだこのロリコン野郎!!」
「黙れババア!! 殺す、絶対殺す!!」
「やれるもんならやってみろチビ!! 童貞!!」
「俺よりチビが何言ってんだクソビッチ!!」


有と殴ったり投げ飛ばしたりのドタバタをしていると、廊下から足音がした気がした。
ああ、ママだ。ママが叱りにきたんだ。さすがにちょっとやりすぎたかな、そう思った直後、鬼のような形相をしたママが居間に入ってきた。



2012/0917
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