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「エアームド、頼んだよ!」
「ホエルオー、きみに任せた!」

キッと激しい視線がぶつかり合う。緊迫した空気、でも私にはわかる…、ダイゴさんが思いっきり楽しんでるって事!

「だいちのちから!」「しおみず!」

技が激突するたびに辺りは騒然となる。それに、何でだろう…ロゼの身体が小刻みに震えて、まるで自分も混ぜてほしいと言わんばかり。それだけ…、ダイゴさんのことを、大事な人だって想ってくれてるって事だよね。

「うん…いい感じだね。あの時の借りは返せたよ、ミクリ」
「そうか…。だがダイゴ、きみの本気はまだまだこんなものじゃないだろう?大親友であるきみが、わたしよりもずっとずっと強い事は、昔からわかっていたつもりだからね…」

コメットパンチとハイドロポンプがぶつかる。クッと拳を握るとダイゴさんは、ユレイドルを繰り出した。

「…だから、ボクを試したのかい?かなこちゃんの事…」

……っ。もう終わったはずなのに、まだ根に持ってるのかな。流し目で微笑むとミクリさんは、いつも以上に真剣な眼差しを向けた。

「さて、真相は誰が知っているだろう?」
「…。それだけは親友でも、譲れない」
「出来心ではなく、本心だとしたら…きみは親友をやめるかい?」

慌てて取り乱しそうになったダイゴさんに、ロゼは何かを訴えかけてる…すうっとひとつ深呼吸をすると、キリッとした眼差しでミクリさんを射ぬく。

「ありがとう、ミクリ。やっとわかった…、モヤモヤしていた理由が」
「それはよかった。今のきみはすごく…、いい瞳をしているよ」

肩の力が抜けて。ダイゴさんの的確な指示が、ポケモンたちを躍動させる…見ていて、すごく心踊る試合だった。私が初めて戦った時の胸の高鳴り…、それを思い出させるような。

「さすがだな、ダイゴ。やはり、きみは強い」
「ふふ…ミクリこそ。安心したよ、ボクがチャンピオンを引退してもきちんと、役目を果たしてくれているみたいだから」
「冷静さを欠いては、チャンピオンにはなれない。それはきみが教えてくれた事だろう?」

ミクリさんの言葉に優しく微笑むと、今までで一番素敵な笑顔で握手を求めてる。…もう迷わない。それは、二人で決めた事。ロゼもその気持ちを、きちんと共有してくれていたのかもしれないね。


bkm
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