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「かなこちゃん、きみのラティアスにお願いしたい事があるんだ」
「え?何?」
「ラティアスと初めて出会った場所…南の孤島に行ってみないかい?」

素敵な提案だと思ったの。そう言えば、あれからラティオスには会えてないもんね?ロゼもきっと、会いたいと思っているだろうし!早速支度をして私たちは、あの不思議な空間へと足を踏み入れた。

「やはり…何度訪れてもこの場所は、澄んでいて不思議な感じだな…」
「そうだね…」

ぎゅっと握られる手はかすかに震えていて…、その意味を知るのは少しだけ後の話なんだけど、やっぱり余裕たっぷりに見えるダイゴさんでも、不安になる事はたくさんあるんだなって思った。奥に進み、透き通った青が姿を現すと…、駆け寄るかのようにロゼが身体を寄せた。

「ふふ…兄妹だけど、愛し合っているみたいだね?」
「うん…」

ふわっと目線を合わせた。なぜかお互い、目を逸らせなくて…。やがてその眼差しが真剣な物に変わるとダイゴさんは、ふうっと深く溜息をついた。

「かなこちゃん…いや、かなこ」
「え……?」

呼び捨てされた事にピクリと顔を上げた。そんな私の様子なんかお構いなしにラティオスとロゼは顔をすり寄せ合っている。

「運命なんてロマンチックな事、信じちゃいけないんだと思っていたんだ」
「うん……」
「ボクは御曹司だから、恋愛なんてする必要もなかったし、だから…、ありとあらゆる事象から目を背けていたのかもしれない……」

ぽつりぽつりと語られる言葉。相づちを打ちながら、そっと耳を傾けた。


bkm
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