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「ボクたちだったら…大丈夫だから…」
「え……?」

その言葉を信じて来た道を戻り、奥に進むと、そこには……。

「ウルガモス、だね。アデクさんの…」

……。ここは、一体……?まるで、王様の部屋じゃないかと思うような置物に囲まれ、ひっそりとたたずむポケモン…。イッシュ地方の元チャンピオンだという、アデクさんのパートナー…。

「かなこちゃん…手を、差しのべてごらん?」
「私が……?」

そう聞くとコクンと頷いた。その瞳は真剣そのもの。小さく首を縦に振ると、ウルガモスに向き直った。

「お願い…私に、力を貸して……?」

……。しばらく沈黙が続いた。ぎゅっと握ってくるダイゴさんの手も震えてる…そう思った瞬間。コトンという音に顔を上げると…。

「終わっ…たの……?」
「うん……かなこちゃん、よく、頑張ったね…」

仲間に…、なってくれたんだ…!そっとボールを仕舞うと、二人で手を合わせる。それからの事は……。


「知っているかい?かなこちゃん」
「なあに?ダイゴさん」

ブラックシティ。イッシュ地方のお金持ちがこぞって集まるという、不思議な街。それに全く違和感のないダイゴさんと、不釣り合いな私。並んで歩いていると突然、こんな事を言う。

「幻影の塔っていうものが、ホウエンにあると言われているんだ…けどそれは、現存するものなのか、古代のものなのか…。詳しい事はわからないんだ」
「へえ……」

よくよく聞けば砂漠の近くにあるみたいなんだけど…、前にダイゴさんと行った時には、不思議な洞窟しかなかったよね?そしてその話を聞いたのがどうやら、古代の城を探検しに行った時みたいで(まさか試合の合間にリゾートデザートに行ってるなんて)……。


bkm
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