「コメットパンチ!」
「りゅうせいぐん!」
本当はまだまだ先…のはずだったんだけど。チャンピオントーナメントの空いてる時間を利用して私たちは今、バトルをしている。あの一件から元の関係…ううん?前よりも更にいい関係になれた私たちの心は、晴れやか。ダイゴさんも楽しそうで、時折涼しげな笑顔を振りまいては、周りからキャーキャー言われてる。
「結局ボクが一番強くてすごいんだよね」
「あ、あはは……」
……。久しぶりに負けた!何でだろう?今更だけどトーナメントにはレベル制限がかかってて、ある程度を越えてしまうコたちは出場できない事になってるから、私のお気に入りのコたちはお留守番。…だからかな?
「ごめんね?ありがとう、スワンナ」
こっちに来て出会ったコアルヒーが進化して。少しだけ懐いてくれたその身体は、弱々しかったけど。
「けどかなこちゃん…きみはどんなポケモンとも仲良くなれるんだね!さすがだよ」
そしてそれをわざとらしく褒めると、そろそろ出よう?そう言われる。
「勝手に使っちゃったもんね、怒られるかな」
「ふふ…心配しないで?ボクが何とかするから」
なんか頼もしいな…前よりもその背中が一回り大きく見えるなんて大袈裟なのかな?それとも…。
「…そうだかなこちゃん!」
「ん?なに?」
「この後、少しつき合って?」
そう言われて連れられた先は、何とあの、ロイヤルイッシュ号で。綺麗…そう呟くとうやうやしく手を差しのべてくる。
「さあ…こちらへどうぞ、お姫様」
「え……っ!」
デッキで風を感じているその横顔を見て、思った。ホウエンで一番カッコいい人__そう思ってたけど、これだけ多くの場所に行って、色んな人に出会ったのに私…、ダイゴさん以上にカッコいいと思える人に、会ったことがない。