「…まさか、あんなに目立つ位置に痕が残ってるきみの彼女に、手を出すわけないだろ?あ、いや…奥さん、かな?」
「…っ!!メタグロス、バレットパンチ!」
「カイリュー、ほのおのパンチ!」
…っ、まずい…!不覚にも動揺してしまった…。おかげで集中力が途切れて、ボクは初戦で敗退してしまう。もう1つのトリプルバトルは優勝したけどね?
「ダイゴくん、ありがとう」
「…いえ、こちらこそ」
ワタルさんと別れて、そう言えば何でワタルさんの事は呼び捨てできないんだろうか…なんてくだらない事を考えながら、かなこちゃんの元へ向かう。かなこちゃんはシンオウ地方のリーダーたちとの試合みたいだけど、どうだったのかな。
「えへへ!」
その横顔はとても楽しそうで、PWTに招待された事に感謝しなくちゃ、そう思った。
「戻ろうか、かなこちゃん」
「…うん!」
色々な事があったけれど…、隣にはボクの一番大好きな顔で微笑みながら腕にすがってくれる彼女。改めて謝罪の意味も込めて、優しく顎を持ち上げ、キスを落とした。
「ダイゴさん…恥ずかしいよ、こんなところで」
「たまにはこういうのも悪くないよ?」
奥さん…か。ふふ…顔が緩んでしまうボクは、病気かもしれないな。いずれ結婚するとなれば、ツワブキかなこになるワケ…だからね。
「ダイゴさん…?」
「…ん?何だい?」
かなこちゃんが疑り深い目でボクを見ているな…まあいいか。
「何か、変な事考えてるでしょ」
「ん?ボクはそんな事はしないよ。ムッツリでもナルシルトでもないから」
笑顔が眩しい。互いの未熟さゆえの嫉妬から生まれた、今回の出来事。おかげでより深い絆で結ばれたボクたちはまた…、新たな運命をたどっていくんだ…。