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「…これ!何で、こんなにハッキリと…!」
「ん…?」

…っ!!かなこちゃんが見せてきた首筋には…。一瞬驚いたけどボクは、たちまち嬉しくなった。

「フフフ…嬉しいよ、かなこちゃん。だってきみがボクのモノだって見せつけておかないと…変な虫が寄ってきてしまうからね」
「…っ!」

今度は泣きそうな顔をしてボクに抱きついてくる。ああ…やっぱりかなこちゃんは可愛い。でも…、肝心なワタルさんがなぜあんなに近くにいたのかは、聞けなかったんだ。


「さすらいの石集め…?」

この大会は、登場する時に自分の紹介文が読まれる事になってるんだけど、色々あってしっかり聞いてなかったなあ、なんて。そう思っていたら……。

「……」

何てネーミングセンス…!そしてどれだけ石好きを強調したいんだろう…!笑いが止まらなくなってしまった私は、少し早いけど、自分の会場に移動した。まさか…、ダイゴさんが初戦負けとは知らずに。


「…ワタルさん」
「どうしたんだい?ダイゴくん」

今。ボクはチャンピオンズトーナメント1回戦(シングルバトルね)に出場している。相手はワタルさん。かなこちゃんは結局何も言ってくれなかったから、直接聞くしかない…そう思ったんだ。

「教えてくれませんか?かなこと何を話していたの…か」
「…そんな事か。大した話なんかじゃないさ。…それになダイゴくん」

そう言うと不敵な笑みを浮かべて、嫉妬かい?なんて聞いてくるから少しだけ、頭にきてしまった。

「…わざとかなこに近づいた…とでも?」
「さあ?どうだろうな?けどおれは彼女に、何もしていないさ」
「…」

どうしてこうもかなこちゃんに気がある男ばかりなんだろう…?しばらく黙って試合をしていたけど、突然、すごい事を言ってきたんだ。


bkm
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