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「ダイゴさん…私、ちゃんと貴方を支えられる奥さんになりたいの」
「かなこちゃん…?」
「全部言ってなんてワガママ言わない、でも…、辛い事、悲しい事、苦しい事…。一人で抱えこんだりしないで…、伝え合おう……?」

…っ!!大きな瞳をまんまるにして驚いてるダイゴさん。今まで見た中で一番…、素敵な顔をしていた気がした。

「ありがとう…かなこちゃん。そうだね、悲しみは半分に、喜びは倍に…二人でわけ合えたらいいな。これから先ずっと、きみと二人で生きていくんだから…」
「うん!おじいちゃんおばあちゃんになっても、ずっとずっと、そんな関係が続いたらいいな!」

その瞬間、初めてダイゴさんの瞳から涙が零れた___


「ん……」

肩に重くのしかかる温もりで目が覚めた。まだ外は暗いようだ。昨日の熱はすっかり良くなっていて、ホッとする反面、ボクはまだまだだな、そう、思った。

「かなこちゃん…」

彼女を起こさないようにそっとベッドから出て一口水を含むと、深く溜息をついた。イッシュ地方に来てから、色々な事があった。ドクターに嫉妬して、Nという青年、ワタルさん、ゲン、ジムリーダーたち、そして……。

「もうあんな想いは、したくないな…」

話を聞いて向かった時には…。まさか自分の彼女が、親友とあんな事になっているなんて思ってもみなかった。彼はかなこちゃんにそんな気持ちは抱かない、そう言ったけどボクは…、それでもショックだった。けどボクだって…、人の事は言えない。だから、お互い様。

「本当にごめんなさい…ダイゴさん。だから、改めて言います。世界で一番貴方の事が大好きだから…、これからも一緒にいさせてください!」
「ありがとう…。ボクからも、かなこちゃん…きみと出会えて、言葉では伝えきれないくらいに、感謝しています。今までも、そしてこれからも…、きみの事をずっと愛し続ける事を誓います」
「……っ!」

今度は彼女が泣く番だった。これから先、ずっと一緒に生きていきたいと願っているのは、ボクだけじゃない事。そして…、こんなボクの事を支えたいと言ってくれた事。つき合ってからはね…ボクがかなこちゃんを守っていかなくちゃ、そう思っていたんだ。でも…それはボクの傲りでしかなかったのかもしれないね…。

「二人で…支えあっていこうね、かなこちゃん」

そっと瞼にキスを落とすと、嬉しそうに頬を緩める。眠っていても、ボクの存在を確かにしてくれているきみの隣は、どこよりも落ち着くんだ…。そんな気持ちを伝えるかのように、証を残した。


bkm
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