161
「……っ!!」

ダイゴ……さん……?いつかの時に見た、鋭い瞳。その様子に少しだけ身震いすると、自然と後ずさりしていた。気づけばベッドの端まで追い詰められ…、逃げる事はできない。

「どう…、したの……?」

喉に何か張りついたみたいに声が出ない。何とかそれだけ絞り出したけど…、のしかかる重みがなくなる事はない。慌てて強く胸を押した、けど…ミクリさんの時のように、びくともしない。

「きみがほしい……」
「え……?」

見下ろす頬は真っ赤に染まり、目は虚ろ。でもしっかり…私を捉えている。逸らそうにも視線は私を追いかけてくる。唇が触れるか触れないかの距離まで近づいて…観念して目を瞑った。

「怖い……?」
「そんなの…」

思いの外優しい声にふわり目を開けた。彼の瞳は不安げに揺れていて…迷ってる、そう思った。無理やり身体を押しのけようとした…けど、病人だなんて思えないくらいの強い力で、乱暴に押しつけられた。

「……やっ!」
「きみは…、ボクだけのもの…そうだろ…?」

決まってる…そんなの。当たり前じゃない…けど、こんな……。行き場のない想いがぐるぐると駆けめぐる。熱が上がっちゃう…そう伝えても、いいから…と制される。

「他の誰にも…、きみに指一本触れさせたくない……」
「……ん…っ」

怖い___ううん、そうじゃない。こんなに苦しそうな、それでいて切ない瞳を向けてくるダイゴさんは初めてで…。攻撃的なのに手探りで求めてくるその様子に、ひどく胸が締めつけられた。もしも…、彼の色に染まってしまえたなら…、何も思わないのかな……。

「いいの…?このまま……」

ガクンと力が抜けた。抵抗しないとわかったのかダイゴさんはそう言う。

「うん……」

いつもより息が荒い…それだけ必死なの?それとも…。その答えを見つける事はできないまま、流れに身を任せた。


bkm
prev next
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -