「ごめんなさい…ダイゴさん……」
ホテルに着くなりそう謝った。それに力なく微笑んだと思ったら途端に…、ぎゅっと抱きしめられる。
「すまない…かなこちゃん……」
彼の声はひどく震えていた。そんな背中を抱きしめ返したけど…。
「…ダイゴさん!すごい熱!」
「え……?」
え?気づいてないの!?慌てて薬を飲むようにベッドに促したけど、その場を動こうとしない。
「また私のせい…私がちゃんと言わなかったからダイゴさん…、風邪引いちゃって……っ」
「泣かないで…?かなこちゃん。そうじゃないんだ…」
何がそうじゃない、なの…こんな時まで優しくしてくれて本当…、私にはもったいないくらいにいい人なんだから……。涙を指で拭うとこんなに泣かせてしまったな、って、そう切なげに呟くの。
「ダイゴさん…」
「ふふ…シャワー、浴びておいで?ボクは薬を飲んで寝るから……」
やっとそう言ってくれて、少しだけホッとした。言われた通りにシャワーを浴びて、自分の顔を見る。
「腫れてる……」
昼間からずっと泣いてたせいで目は真っ赤に腫れ上がっていた。そっとタオルで目元を温める。やっぱり私…、どんな事があっても側にいたい人は……。一人で深く頷いて、シャワー室の戸を閉めた。
「……」
眠ってる…。ベッドにするりと身体を滑らせ、綺麗に目を閉じている彼の銀色を撫でる。水色がかった綺麗な髪は、いつすいても途中で止まる事はなくて…。柔らかさにくすりと笑みを零したその時。