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「あの事できみを傷つけたのは事実だから、軽々しく謝ったりなんかしない。…けどボクは、絶対にきみを裏切るような真似はしない。…これだけはわかってほしい」

あ……。するりとほどかれた手は途端に温もりを失って…、ひんやり冷たかった。…失望。ううん?そうじゃない…こんなに素敵で、私にはもったいないくらいの彼を、私は傷つけてしまったんだ……。

「…っ、ふ…っ」

止めどない量の涙が流れ落ちる。涙と一緒に…、醜い感情まで流れちゃえばいいのに。あんな事があって、怖かったから……っ、ただ、側にいてほしかっただけなのに……っ。程なくして、出航の準備ができたという連絡があった。乗り場へ向かったけど…、彼の姿はどこにも見当たらない。

「ダイゴさん……!?」

おまけに雨もひどくなってきた…早く出ないと、ここに閉じ込められちゃう…!そう思った瞬間、私は走り出していた__

「…ダイゴさん!!」

一際大きな声で呼んだ。やっと振り返ったその瞳は、切なげに揺れていて…、胸がぎゅっと締めつけられた。慌てて抱きつくと震えながらも…、強い力が私の身体を包んだ。

「すまない…かなこちゃん…」
「…違う!私のせいなの!全部…ごめんなさい!あんな事があったから…っ、側にいてほしかったの…、ただそれだけなのに……っ!」

……っ!改めて私の顔を見たダイゴさんは、先ほどとはまた違った表情を見せた。お互いの気持ちを強く強くぶつけ合うかのように唇を重ねた……。

「雨…、止んでよかった…」
「そうだね…」

ヒウンシティに着いた頃には、辺りは真っ暗だった。そっと私をエアームドの背中に促すと、ホドモエシティの明かりの中で身を寄せた。


bkm
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