157
「とにかくきみが無事でよかった…ミクリがホンキだったら今頃……」

…っ。そう言うダイゴさんは本当に辛そうで…、私は自分のした事の重大さを深く認識させられた。

「かなこちゃん…いくらミクリでも、男の部屋に軽々しく入るのはダメだから。きみに何かあったらボクは、この先どうしていいかわからない…」
「ごめんなさい…」

自然と流れる涙を拭う指先は震えてる…その手をぎゅっと握り返した。

「これからは、気をつけるね…心配かけてごめんなさい…」
「うん…。それときみは疑っているようだけど、あの日、ボクたちには何もなかった。これだけは伝えておかなくちゃいけないから…」

そういう瞳はひどく真剣で…、思わずコクンと頷いた。隣からは温かさを感じていたけど、お腹の痛みと胸の苦しみを拭い去る事はできず、なかなか寝つけなかった。


「ミクリ…ありがとう」

かなこちゃんが寝たのを確認してボクは、ミクリの部屋に向かった。バスローブを返すと、わざわざ申し訳ないね…そう返ってくる。

「さっきの事…本当に何もしていないんだよね?」
「ああ、もちろん。親友のきみを裏切るような真似、このわたしがするとでも…?」

その瞳はいつもと違って攻撃的だった。けどすぐに力をほどくと、今度は真剣な眼差しで謝ってきた。

「…かなこちゃんには本当にすまないと思っているさ。もちろんダイゴ、きみにもだ。そのお詫びにこれを…」

そう言って彼は船のチケットをくれた。現地の女性からもらったものだと言う。かなこちゃんときちんと仲直りできたら、旅の終わりにでも連れていこう…そう願って彼女の待つ自分の部屋へと戻った。


bkm
prev next
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -