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「とにかく…きみに怖い思いをさせてしまった事は謝る、すまない」
「あ、いえ…」
「…フフッ」
「え……?」

と、突然笑われた…!?慌てて聞き返したら、こう言われる。

「安心したまえ、昨日見た事は、わたしの胸の奥底に仕舞っておくからね」

……っ。それって、ずっと覚えてるって事…!?だってミクリさん…、色んな人の裸を見てるでしょう…?

「ははは、そんなわけないだろう。かなこちゃん…きみはわたしを何だと思っているんだい?」
「え……っ!?」

な、何で心の声がバレてるの…!恥ずかしくて顔を真っ赤にしたタイミングでダイゴさんがやってきて、本当に何もしていないよね?って、ちょっとしつこい。ミクリさんはヒラリと手を振りながらきみが心配する事はないさ、それだけ言っていなくなる。

「かなこちゃん…おかしなところがあったら、ちゃんとボクに言ってね?」
「おかしなところ……?」
「うん……疑いたくはないけど、きみに何かあってからでは遅いから……」

…もう。浮気を疑われてるみたいで、ちょっと嫌かも。自分だって疑ってたくせに…、本当都合のいい女だな、私。大丈夫、そうとだけ伝えると、昨日の事を思い出した。

「かなこちゃん…怖かったよな、すまない…」

ダイゴさんの部屋に連れられて。鍵を閉めた途端、ぎゅっと抱きしめられた。その腕がひどく心地よくて背中に手を回そうとしたら、ソファーに座らされた。

「ごめんなさいダイゴさん…お腹が痛くなっちゃって…」

謝らなきゃいけない事はたくさんあるのに、さっきの出来事が頭から離れない。怖かった…そうじゃないと言えば嘘になるけど、あんな姿見られて恥ずかしい…そんな気持ちの方が大きい気がしたの。


bkm
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