「んじゃ、オレ、そろそろ行くわ!次の試合、応援しとけよ!」
何か風みたい、あっという間にいなくなっちゃった。ちょうど入れ替わるようなタイミングでシロナさんがやってきた。
「あ…」
「そろそろ、ダイゴの試合が始まるわね!」
何となく並んで試合を観戦する。ボーッとしてたらシロナさん、いきなりこんな事を言い出すんだ…。
「ダイゴとあたしは、似た者同士だと思うの…だからなのかな?応援したくなっちゃうのよね!」
「似た者同士…」
それってどういう意味!?やっぱり…何かあったのかなって…、疑っちゃうじゃない。そんな私の事なんかお構いなしに試合はダイゴさんのペースで進んでいく。
「でも、相性は悪いのよね!」
「え……っ!!」
ぐらりと視界が揺れる気がした。そんな私を穏やかな目で見つめるシロナさんは一体、何を考えてるの…?
「…あのねかなこさん!あたし、あなたに謝らなければならない事があります!」
「……?」
「一昨日の夜ね、あたしとダイゴは、本当に何もしてないの、酔っぱらっちゃったあたしを彼はただ、部屋に連れてってくれただけ」
でも、相性が何とかって…そう言う前に彼女は、こう答えた。
「あたしもダイゴも、バトル以外に夢中になれるものがあって、一緒にいて楽なの、でもね…、あたしはわりと浮気しちゃうけど、ダイゴは本当に一途だと思うわ!鋼タイプをこよなく愛しているもの!」
「……っ!」
ふわりと手を握られた…私を見つめる表情は本当に綺麗で…、こういう人の事を美人っていうんだ、そう、思った。
「驚かせてごめんなさい!でも、あなたはダイゴを信じてあげて?大丈夫、ダイゴはかなこさん以外の女性と浮気する事なんてしないから、ね?」
「シロナさん…」
そしてシロナさんは、出会って一番の笑顔を、私にくれたんだ…。