「そういえばさ、かなこちゃん…あの人とつき合ってるんでしょ?」
「え…?」
そ、そりゃあ、バレてるよね…そしてその視線の先にはシロナさんと仲良さそうに話してるダイゴさん…何かフクザツ。とりあえず見ないフリをしてトイレに行って、ホウエン組で夕飯を食べて。…結局、ダイゴさんとミクリさんは来なかったけど。
「お休みなさーい!」
…よし、これからパパのところに行こうっと!ちょっとだけ眠い気がしたけど、軽い足取りで男子フロアへと降りていった。
「ごめんなさい…、酔っぱらっちゃったみたい」
「…一人で帰れる?シロナ」
やっと明日にチャンピオン戦を控えてボクたちは、三人で乾杯をしていた。わたしは先に失礼するよ、そう言って立ち上がったミクリの背中を目で追っていたけど、隣にいるシロナはどうやら酔ってしまったようだ。
「きみはあまり酒が強くないんだろ?なのに無理したのかい?」
ボクの問いかけにも曖昧にしか答えない。初めて酒の席を共にしたから、まさか一杯で酔うなんて思わないからね…困っていると。
「…お願い、ダイゴ。肩を貸して…?」
「うん…そうだね…」
正直、戸惑いがないワケじゃない…だってそうだろ?かなこちゃん以外の女性と、こんな近い距離にいるのはどうかなと思うし、それに………。
「…さあ、着いたよ?シロナ」
「……」
「シロナ……?」
……っ!顔を真っ赤にして、トロンとした瞳で見つめられると何だか、変な気持ちが生まれてきそうになる。それをグッと堪えると改めて、声をかけた。
「鍵出せる?部屋を開けるから…」
「…ねえ、ダイゴ?」
「なに…」
「ちょっとだけ……、ね?」
………。うん…わかってる、こんな事が許されるなんて思っていない。けど…、誘惑に負けてボクは、彼女の部屋に足を踏み入れたんだ………。