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「…当たり前だろシロナ、このボクが負けるくらいなんだから…」
「それもそうね。早くお手合わせ願いたいところだけど」

一般のトレーナーがチャンピオン戦にエントリーするには、各地のリーグ戦を勝ち抜かなければならない。もちろんかなこちゃんはチャンピオン相当の力はあるけど、本人の希望で一般のトレーナーとしてエントリーしたようだから、口出しするつもりはない。

「彼女が早く、勝ち抜いてくる事を願うよ」

それだけ言い残して外の空気を吸いに出かけた。強い風に吹かれて一人、昨日の事を思い出していた。

「ダイゴさん、すっごくカッコよかったよ!」

挨拶が終わり、それぞれ食事を楽しんだ後、かなこちゃんを捜す。しかし、どこを捜しても見当たらなくて、少しだけタバコを吸いに行こうとしていると、そんな風に言われた。

「ふふ…そうかい?ありがたいけどここでは何もできないからね…」

ボクたちトレーナーは、それぞれ一人部屋を与えられていて、男女は別のフロア。初日からは何となく自分の部屋に呼ぶ気にはなれなくて微笑すると、爽やかな笑顔を向けてくる。

「でもこうして、ダイゴさんと話せたから、私は満足だよ?」

そう言う彼女にある提案をしてボクたちは、部屋に戻った。


「…ちょっと休憩しよう」

チャンピオントーナメントは人数が限られてる事もあって、なかなかダイゴさんの試合は開催されない。かくいう私は試合が立て込んでて、気持ちに余裕がない。本当はみんなと話したり、色々したいのに…。

「かなこちゃん、お疲れ様!」
「…アスナさん!」

疲れたー!そう豪快に言うアスナさん、全然変わってない!ホウエン組は何だかんだでみんな一緒にいるよね。二人してトーナメント表を見ながら、それぞれの地方によって個性があるね、なんて話をして。


bkm
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