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「だって…濡れていてもカッコいいんだもん、ダイゴさんが」

そう言うと顔を赤くしてる…こんな時に言わないでくれ、とか何とか。

「かなこちゃん…きみは本当に…」
「本当に、なに……?」
「とりあえず、傘を借りようか」

…誤魔化されちゃった。いつもの、事だけどね…。ポケモンセンターで傘を借りて、行きたかったんだ!とテンションが上がっているダイゴさんに連れられて私は、ヤーコンロードへ入っていった。

「ここは、最近できたみたいでね。ずっと気になっていたんだ!」
「へえ……」

適当に返事をしたらきみはいつもそうだね、ってちょっとむくれてる。石探しに夢中になってるダイゴさん、素敵だけどやっぱり…一緒にはできないかも。

「…って、あれ!?」

ダイゴさんいなくなってる…!こんなところ捜すの!?途端に身震いがしたけど、手探りに歩き回ってみる。__っ。寒い…なに…ここ……。さっきとは違う空間に戸惑ってると、強い力で手を掴まれた。

「ダイゴ…さん……」

ホッとして力が抜けた。そんな私をぎゅっと強く抱きしめてくれる。どうして、この人は…、私の居場所がわかるんだろう…。

「ここ…空気が違うね…」
「うん…それよりかなこちゃん、勝手にどこかにいなくなったりするのはダメだから」
「……はーい」

口調はちょっと怒ってるけど、繋がれた手は優しい。この温もりが…、いつまでも私だけのものだったらいいのに。

「ホウエンと同じ、空気を感じるな…」

そんな呟きはまた、石マニアとして研ぎ澄まされたものだろうと思ってたけど…、後々私は、ホウエンで、不思議な体験をする……。


bkm
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