“この町の裏には、ものすごーくでっかい穴が開いとるんじゃ。その穴はな、昔々、空から大きな隕石が降ってきてできたそうじゃ。そしてその隕石の中には、世にも恐ろしい化けもんが潜んでおったそうな…。化けもんは晩になると、冷たい風とともに人里に現れては、人やポケモンを取って食らうと言われとった…。じゃから昔のもんは、町を塀で囲って、化けもんが入って来られんようにしたり、日が暮れたら表に出るのを禁じて、家で過ごすことを町の掟にしたそうじゃ”
その掟通り、私たち以外は誰も外には出ていない。程なくして戻ろうか、という彼に手を引かれて翌朝、日の光に誘われるかのようにビレッジブリッジへ。
「わあ……!」
オシャレな橋…!テンションが上がっている私を見て穏やかな笑顔を向けてくれる。
「きみが楽しそうなら、ボクは何も言わないよ」
ぎゅっと細い腕に抱きついたら、朝はここで食べようか…と名物だというサンドイッチを食べる事に。
「うん、いい感じだね」
「たまには外で朝ご飯もいいね!」
昼の分まで買って、懐かしい話をし始める。
「そういえばミアレシティに、ガレットが売っているんだ」
「そうなの!?食べたかったなー、ガレット」
「ふふ、また行こうか」
「…うん!」
ホウエンだとフエンせんべい、ジョウトならいかりまんじゅう、今度はそういう旅でもいいかも!あの出来事が嘘のように、穏やかな時間が過ぎていく。辺りを散歩して、豊穣の社へと足を運んだ。
「ここは……」
奥の奥には祠があって、ランドロスというポケモンを祭っているみたい。一度、会ってみたいなあ…そんな事を思いながら、二人して手を合わせた。