「おはよう、ダイゴさん」
眩しいくらいの日差しが降り注ぐ窓際に、ぼんやりと遠くを見つめている背中。そっと声をかけると、控えめに微笑む。
「早く起きちゃったの…?」
私の問いかけに曖昧な笑みを返すと、再び視線をどこかに向けてしまう。何となく胸が苦しくて寄り添ったら、タバコの香りが鼻をかすめる。
「きみも吸うかい?かなこちゃん」
「…」
慌てて否定したけど…、どうしてそんな事を聞いたのかな。もしかしたらダイゴさん…、余裕がなかったのかもしれない。真実は彼の胸の中で、誰にも探れないけど、何となく…、そんな気がした。
「…ありがとう、ダイゴさん」
1日経つと、お腹の痛みはだいぶ引いてきて。ちょっと怖かったけど、ダイゴさんが優しく抱きしめてくれたから…、落ち着いたみたい。
「かなこちゃん…あのドクターに、口説かれていないよね?」
「……」
もう、すぐそうやって嫉妬するんだから。確かに恥ずかしかったけど、全然いやらしい感じとかなかったし、平気だったんだけどな…。
「それより!観光しよう?ね?」
そう提案するとダイゴさんは、カゴメタウンという、小さな街に連れていってくれた。夜を迎えて辺りが静まり返ると、少しだけ外の空気を吸いたくて私たちは、高いところで風に当たっていた。
「本当に…いるのかな?化け物」
「…まさか。ボクは思うんだ、きっとグラードンやカイオーガ、レックウザのような、強大な力を持っているポケモンなんじゃないかなって」
ダイゴさん…。私は昼間聞いた話を思い出した。