「ゲンキさん、スイクンってポケモン見た事ありますか?」
ダイゴさんに無理やり許可をもらって。私は今、息抜きに…じゃなくて、ポケモンを捕まえにアサギシティに来ている。本格的に図鑑を完成させるとなると、やっぱり他の地方にも行かなきゃな…そう、思って。
「そんなポケモンいたら、とっくにかなこに教えてるぜ」
船乗りのゲンキさん。家が近い事もあって、小さい頃から良くしてもらってる。のんびり海を眺めて…、頬を撫でる風が心地いい。こっちであった出来事とかを聞いて、別れ際にこう言われる。
「見ねえ間に、女は綺麗になるもんだな」
「え……?」
「今のオマエ…、すごく綺麗だぜ?」
……っ!何だろう、褒め言葉がくすぐったい。昔から知っている人に、そんな事言われると思ってなかったから…。おばあちゃんからロングテールスカートをプレゼントしてもらって、ひたすら歩いて回れる距離を移動して。
「3日じゃ全然足りないよ…」
迎えに来たダイゴさんにそう零すと、ボクの方の仕事は終わったから、って、ちょっと不機嫌!?
「かなこちゃん…お願いがあるんだ」
「何?ダイゴさん」
「これから…イッシュ地方に行かない?」
イッシュ地方…ここで起きる出来事が、私たちの気持ちを試す事になるだなんて、この時は思ってもみなかったの…。
「そうか、そんな事が…」
「まだ正式な依頼は来ていないんだ、だがダイゴ、わたしは……」
かなこちゃんを見送ってボクは、久しぶりにミクリの家に邪魔する事になった。相変わらずの美しい物が並んでいる部屋は、妙に居心地が悪い気もする。
「ミルクティーでいいかい?それとも、こちらの美容にいい紅茶を…」
ん?何か変なものを勧められそうだったから、ミルクティーにしておいた。