「…」
ずっと黙ったままのボクに、彼はこう切り出す。
「ダイゴ…本当はまだ、ここを離れたくないんだろう…?」
「…。ふふ、さすがにきみには敵わない、か」
控えめに笑ってみせると、長いつき合いだからな、そう言う。終いには、告白劇の事まで話し始める。
「きみがあまりにも行動しないから、代わりにわたしが動いたのさ。最も…、その必要はなかったようだがね…」
「そんな事…。ホウエンで起きた事、かなこちゃんの件…、ミクリには感謝してもしきれないよ。けどね…1つだけ、気になる事があるんだ」
何だい?ダイゴ。そう聞き返す彼の瞳が妖しく光っていた事に、この時のボクは気づかなかったんだ…。
「ふふ…緊張しているの?かなこちゃん」
……。途端に身体がこわばる私にそう言うダイゴさん。家のお風呂はとてもじゃないけど二人で入れないから今、私たちは新しくできたという露天風呂に来ている。特別貸し切りのお風呂はミナモシティの民宿にオープンするみたいだけど、深夜のこの時間では誰もいなくて、二人でのんびりしてるんだけど…。
「恥ずかしがる必要はないよ!色だってこんなに濃いよね?それに…」
“いつも見ているから、見えなくてもわかるよ?”
……っ!そんなにたくさんしてないよね!?ばっちり覚えてる、みたいな言い方をされて顔が赤くなると、かなこちゃんはわかりやすいね、なんてからかってくる。