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「調子はどうだい?ダイゴ」
「ミクリ…今日は仕事のはずじゃなかったのかい?」

あの時、ボクの元を訪ねてきたのは、ミクリだった。彼にしては真剣な眼差しでボクを見つめている。そこから彼の覚悟を汲み取ったボクは、かなこちゃんを残して、真夜中のチャンピオンルームへ向かった。

「…フフッ、そんなに身構える必要はないさ、とって喰うわけではないからね」
「…冗談はそこまで。きみが直々にボクを訪ねてくるのには、ワケがある…そうだろ?」

コクン、と美しい動作で頷いた。…わかってる、わかってはいるけど、心の準備が整わない。深く深呼吸をすると、こう持ちかけられる。

「ダイゴ…、きみと、真剣勝負がしたい」
「……。きみがホンキを出せばボクが勝てない事くらい、わかっているだろうに」
「そうじゃないさ。相性で言えば、わたしの方が有利かもしれない…しかし、きみがどれだけポケモンを愛しているか、わかっているつもりだよ」

互いに鋭い目線を向けた。ポケモン勝負___その裏側には、チャンピオン交代、いや…、かなこちゃんを賭けて、そんな意図があった気がしてならない。

「じゃあ、トリプルバトルでいこうか」
「悪くないな。シングルではきみに勝てそうにないからね…」

そう言うミクリは、一際妖艶なオーラを纏っていた。男のボクでさえ彼から感じるオーラは危険だと思う…そんな彼と、かなこちゃんを近づけるワケにはいかないから…。

「頼んだ、メタグロス!」

音も何もない、静かな空間。ポケモンたちの繰り広げる技の豪華な演奏を聞き終えるとそっと、息を吐いた。

「……。きみがここまで真剣だとはね…」
「…いや。きみには負けるさ、ダイゴ」

結果はギリギリでボクが勝った。けど…、ほぼ互角かもしれない。もちろん、リーグで使用しているコたちはボクの切り札じゃないし、けどそれは彼もわかっているようで、そう言ったのかもしれない。


bkm
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