「どうやら、ただの水だったようだな…。キミに何もなくてよかった」
「すいません…、お騒がせしました…」
は、恥ずかしい…!せっかくマツブサさんとこうして探訪してるのに、迷惑かけちゃった…落ち込んでたらそんな顔をするな、なんて言われる。
「元はと言えば私の責任なのだ、キミが悔やむ理由などないはずだが」
「でも…」
「私は…、楽しかった」
「え……?」
それは、かろうじて聞き取れるくらいの声で…。温かくなった心はしばらく、余韻を残していた。
「今日は、たくさん遊ぼうね!」
このコと初めて(正確に言うと違うんだけど)出会った場所、目覚めのほこらに来ている私。思いっきりカイオーガを可愛がってあげたい!そう思いついたのが、ここなの。
「どう?気持ちいい?」
本当は私が入れる場所じゃなかったんだけどね…特別にって、長老さんが入れてくれたっけ。嬉しそうに尾びれを揺らすところが可愛い…!最初は怖いコだったけど、こうして触れ合ってると、どんなに大きくても可愛いなあ、なんて!
「平和だな…」
外に出て軽く伸びをしてそう呟いたら…ミクリさん!?いつからいたんだろう…、クスクスと美しい笑みを浮かべている。
「今日はルネに来ていたのか。言ってくれれば、歓迎してあげられたのだが…」
「そ、そんな!わざわざ歓迎なんて…!」
そう言うときみはチャンピオンを倒した英雄だろう?だなんて返される。それから少し世間話をしてるんだけど…やだ私、どこ見て…。何となくミクリさんのお腹の辺りが気になっちゃって…!顔が赤くなりそうで慌てて目を逸らすと、タイミング悪くこんな言葉が降りてくる。
「かなこちゃん、きみはやはり…刺激を求めているようだね…」
「え?はい…」
そして流れるように頷いちゃった…絶対ミクリさんに勘違いされたよね…もう。けど、この質問には実は、別の真実があった事に気づくのは、もう少し先の話。